ご紹介で昨年から施術している方。
膝痛でずっと整形外科に通われていて普段は湿布、痛みがひどい時は薬というパターン。
あと数年したら年齢的に人工関節にしましょうという流れ。
本人としては周りで手術した人の大半は術後の後遺症で悩んでいるので手術はしたくないという考え。
確かに膝との間には拳が余裕で入るくらい変形が進行しているO脚である。
姿勢不良によるO脚とは違って構造的な変形は改善が難しい。
かと言って変形が直らないと痛みが消えないわけではない。
数年間医師に言われた通り、なるだけ動かさないように守ってきた膝周辺の軟部組織はガチガチ。
膝痛の原因が膝であるはずがない。では、何が原因か?
下肢の連動
筋肉はまだ変化しやすいものの靭帯や腱が変に固まると厄介である。
逆に靭帯や腱に栄養が流れてくると改善への道が大きく開けてくる。
よってアプローチする箇所は筋肉以外の軟部組織が必然と多くなる。
先日は「今だから言うけどね、最初の1~2回目は本当に良くなるのかしらと疑問だった」と。
実際施術が終わったばかりで帰りのクルマに乗り込む時には既に痛みが出ていた。
毎回施術前に症状の変化を訊くが、こういう仕事を長年していると言葉では肯定的なことを言っていても本音ではないんだろうなと経験的に感じることができる。
この方もそんな感じで私に対し気を遣っている言動が多かった。
私はそこまで演技派ではないが時には騙されたふりをすることもある。
変化があったのは3回目終わって数日後「あれっ! そういえば最近痛み止め飲んでないわ」と気づく。
月に1回の整形外科での定期健診では医師が「あーやっぱり変形がひどいね、痛いでしょ?」と訊いてくるが本人は痛くないので「先生、こんな風に歩いても痛くないんですよ」と伝える。
「え~そうなのー おかしいなぁ~こんなに変形しているのに…」と首を傾げている。
この時点では当然のことながら膝の変形は直ってはいない。
骨の形が症状と一致していると思っている医師にとっては疑問が残るだろう。
患者さんには「整形外科に行っても整体のことは話さないほうがいいですよ」と伝えている。
一部を除いてこの周辺の医師は整体みたいな民間療法には否定的だから。
患者さんの本音
この方は徐々に打ち解けてきて今では正直に「整体を受ける側とすれば1~2回で結果を出してほしかったのよ」と本音。
気持ちは分からないでもない。
昔の私も腰痛で様々なところをさまよったので。
それについては考え方はいろいろあると思う。
日本には昔からのすごい療法があって本人には意識させないでカラダ全体を絶対値にインプットさせるのとか。
一気に3つくらいレベルアップするのでマジックショーみたいな感じ。
でも、今の私はその真逆で地味に靭帯や腱をチマチマとやっている。
これは施術家の性格が出るんだろうな。
いきなり自分の知らないレベルのところに連れて行かれて生活するのも楽しそう。
でも、そこまで自分の足で行ってないので足を踏み外したらまた下まで落ちるかもしれない。
かたや地味にでも一歩一歩階段を上がって行けば例え踏み外してもその場で転ぶだけ。
遠回りかもしれないが確実に頂上を目指せる。
1回で治してほしいという方のご予約をお断りするのはこんな理由から。
お互いの考え方が違うと時間とお金を無駄にしてしまう。
決して私の考え方が正しいと言っているわけではなく最後には「合う・合わない」のレベルの話だと思う。
「良い・悪い」ではなくね。