私が想像していたより過酷な現実だったようです。
普通の感覚では到底共感できないでしょう。
それでも少しは理解しようと思った次第。
今回読んだのは磯野真穂氏の『なぜ ふつうに食べられないのか』
こちらには6名の女性の実体験が載せられています。
そのうち5名は「今よりも他者に受容される身体になりたい」という思いから極端なダイエットの道に進んでしまう。
私が過去に経験したことなんて6名の女性に比べたら可愛いもんです。
『会食恐怖症』の人を助ける手立て
“拒食の状態というのは、親に受け入れられるための「チケット」っていうか”
上記はインタビューされた方の言葉。
摂食障害へのきっかけの一つが親であり、改善へのきっかけも親が絡んでくるものです。
ただ、どんなに10数年手塩にかけて子を育ててきた親といえども、簡単に“拒食”の理解をするかというと難しいよね。
そこから親子関係がこじれて、更に拒食の深い沼に踏み入れていく感じ。
中には親と絶縁状態にまでなってしまった最悪の例もありましたね。
食べても太れない方法を編み出す
本書で初めて知った言葉があります。
それは“チューイング”
食べ物を口に入れては吐き出す作業のこと。
チューインガムってそういう意味だったのか。
咀嚼はするんですが、それを飲み込まず吐き出すんですね。
だから脳は食べたつもりでも胃には入っていないので太れません。
それが尋常じゃない量を買い込むのです。
金銭的に余裕があればスーパーのレジ袋で6つも!
そういう行動をしてしまう自分自身を憎んでもいます。
買い物の最中には、ちょっとした嬉しさや楽しさがあったという。
しかしこの気分は長くは続かず、店から出た途端に買い物袋を抱えている自分が悲しくて仕方がなくなり、泣きながら家に帰ることもあった。
ここまで来ると誰かが間に入らないと魔のループから抜け出せなくなります。
親は完全に理解できなくても寄り添うくらいはできるかもしれませんね。
摂食障害について医学的なアプローチはいくつもありますが、これといった決定打がないのが現状です。
体験者の一人は海外で現地の人たちと衣食住を共にして変わった例もあります。
他の精神病と違うのは、皆んな摂食障害について十分すぎるほど知識があるんですね。なのに改善できないもどかしさで苦しんでいます。
周りは自分の物の見方に固執せず、ありのままの気持ちを聞くことから。
これは精神科医ではなくても可能だからね。