もちろん日本では終末期の患者への自殺幇助(ほうじょ)ならびに積極的安楽死は認められていない。
しかし、スイスやオランダでは黙認されている。
そう“黙認”であって“推奨”ではない。
自殺幇助に対し根強い反対派もいる。
個の生き方を尊重するヨーロッパ人でも現実はそうなのだ。
日本はどうも『死』の話はタブーなようで話し合いすら行われない。
昨年放送されたNHKスペシャル『彼女は安楽死を選んだ』で反響は大きかったものの、特に議論されることはなかった。
各国によって死生観や文化が異なるのは当然。
ヨーロッパのやり方をそのまま取り入れる必要はない。
せめて日本国民がどう考えているかアンケートを取るくらいのアクションは欲しいかな。
当院へは日本尊厳死協会に入られている方がいらっしゃる。
日本で認められているのは消極的安楽死まで。
ヨーロッパでは誰もが死願さえすれば認められるものではない。
例えばスイスで自殺幇助が認めれれるには4つの条件が必要。
1.耐えられない痛みがあること
2.回復の見込みがないこと
3.自殺幇助を受ける本人が明確な意思表示ができること
4.治療の代替手段がないこと
いつかは安楽死について議論が必要
安楽死について改めて考えるきっかけになった本がある。
犬塚理人氏の『眠りの神』
安楽死がテーマではあるが、ミステリなので重くはない。
考えるきっかけになれば。
「患者が安楽死を希望する最大の理由は何だか知っているか?」
「耐えがたい苦痛にさいなまれているから、では?」
「いや、そうじゃない。安楽死を希望する人に取ったアンケートでは、痛みを理由に挙げたのは3割程度しかなかった。もっとも大きな理由だったのは、尊厳の損失だ」
「寝たきりになって全身を管につながれ、排泄物の処理を他人に任せざるを得ない生活になったとする。そのような生活は、人間として尊厳あるものではないと感じる人たちもいる」