物にぶつけたり転んだりして骨折すれば、まず整形外科に行くはず。
場合によっては手術を行いリハビリ、そして退院→通院という流れが一般的。
ここで可動域が骨折前まで戻っていなかったらどうするだろうか?
Yさんは「整体で何かできないでしょうか?」とご来院される。
お電話である程度の状態は伺っていたものの、実際に触れてみると本当に動かない。
折れた箇所は左橈骨遠位(手首の親指側の骨)。
可動域だけでなく重い物を持つのも痛く、仕事・生活に支障をきたしている。
骨折してから3カ月以上経過しているのでX線では完全にくっついている状態。
だから病院では「外科的にはもうできることはありません」と匙を投げた。
整体で何ができる?
まずは痛い箇所以外の関節を動かしてみる。
すると橈骨の肘側がロックしていて肘関節が完全進展できない。
そこにアプローチして見た目の左右差はなくなる。
次に橈骨と手の舟状骨。
ここは、うんともすんとも言わない。
初回の施術が終わってから模型でアプローチ方法を考えてみる。
今まで誰にも施術したことのない方法を。
2回目以降はその方法で関節にゴリゴリ音が出てきた。
よし! ようやく動いてきたぞ。
後はその隙間に潤滑液を促して。
仕事でコピー用紙の束を持って棚に入れたり、家ではフライパンも持てるようになったと嬉しいご報告をいただく。
だが、変化はそこで終わる。
当初できなかったことができるようになり生活に支障をきたさなくなったので、可動域改善は重要じゃなくなったようだ。
私のほうでも完全なる可動域改善への次の一手が見つからない。
それを正直にお伝えし施術終了となる。
脳に汗かいて、あらゆる手を使っても完敗。
一体、骨折後の可動域改善って他の方はどうアプローチしているんだろう?
まだまだ勉強が足りない。
手応えのある方法が見つかるまで骨折後の受付は保留にしておこう。
痛みは対象で可動域改善は「元通りは難しい」と伝える。