猫は生後まもなく親猫から引き離され人間の手によって育てられたとしても、ネズミのおもちゃに飛びつきます。
誰も「ネズミは捕まえるべき生物」なんて教えていないのに。
本能というか遺伝子に組み込まれているんでしょうか?
人間は山々の緑や花を見ていると癒やされますよね。
それを見て「うえっ! ヘドが出るぜ」なんて思う人は皆無でしょう。
ヒトが生きていくために不可欠なものに関しては無闇に攻撃できなくなるシステムがインプットされているのかもしれません。
逆に何らかの物質によって生命活動が危ぶまれれば容赦なく攻撃するシステムが存在します。
代表的なのは癌細胞を攻撃するキラーT細胞やNK(ナチュラルキラー)細胞。
我々の体で日々3,000~5,000個の癌細胞が発生していても発症しないのは、これら免疫細胞のお陰なんですね。ありがたや~
その免疫システムが正常に働いてくれていれば問題ありませんが、弱ってしまったら…。
癌という漢字には口が3つ入っています。
人の3倍食べれば…という意味かな?
作った人に訊いてみたい。
キラーT細胞の表面にはT細胞受容体というタンパク質が突出しています。
これはアンテナみないな役割で「これは正常、こいつは癌!」と認識。
その受容体が「見っけ」という状態は癌細胞の一部と結合しています。
さぁ攻撃開始です。
でも癌はバカじゃないので、そうやすやすと殺られません。
見つかって逃げられなければ相手の急所を打つのです。
その急所がキラーT細胞の表面に突出しているPD-1というタンパク質。
クルマでいうブレーキみたいなもので、それを踏まれると攻撃力が低下。
攻撃されたくない癌細胞は自分のPD-L1というタンパク質をキラーT細胞のPD-1に結合させるのです。
するとキラーT細胞はブレーキを踏まれていますから癌細胞を攻撃できなくなります。
がん免疫療法のすごいところ
だったら癌細胞からブレーキを踏まれないようにすればいい。
免疫チェックポイント阻害薬でPD-1に対する抗体を作り、先に結合させちゃうのです。
癌「あ~あ、キラーTに見つかっちゃったよ、まぁいいやブレーキ踏んじゃえ・・・・・・ってねぇじゃん!!」
T「へへ~ん、お前の魂胆なんか分かっとるわ!」
T「これでも喰らえ、必殺がん消滅拳!」
癌「くっ、殺られた…」
すごく内容を端折っていますので大目に見てね(笑)。
体内をボロボロにする抗癌剤より免疫療法の考え方のほうが、より自然で好きです。
ノーベル賞を受賞した本庶佑先生は素晴らしい。
先日は原発不明癌に免疫チェックポイント阻害剤のニボルマブ(オプジーボ)を投与したところ改善が見られたと発表。
後はどんな医療行為にでも起こり得る副作用ですね。
そこをクリアしたら最高のがん治療法。
希望を持ちながら推移を見守っていきましょう。
資源が少ない日本が他国に勝てる要素は卓越した頭脳。
医療に限らず研究室への予算はどうか削らないで。