「なんか最近食べ物が美味しくなってきたんです~」
そう笑顔で話す方がいらっしゃる。
定期的に通院されていて来月でちょうど1年になる。
主訴は両足のシビレ。
でも、私が一番気になっていたのは肩関節の極端な右肩上がり。
こりゃ交感神経が怪しいぞ。
シビレが強いほうは左足。
足というより下肢全体が問題で、特に股関節が完全に防衛体制。
どう見ても腸の反応が悪そう。
そんな第一印象だったが、味覚について話されたのはここ最近。
もう20年以上、何食べても美味しいと感じなかったのに“ただの白米”が美味しいと。
今までは家族で食事に行ってコース料理なら必ず食べ残すと分かっているので、息子たちは胃袋を毎回余分に空けておいた。
でも、もう「普通に一人前が食べられるようになった」と。
決して胃の容量が小さかったわけではなく、美味しく感じられなかっただけ。
これが普通になるということ。
胃の声を聴く
内臓が不調のときは大抵味覚が落ちる。
それは自分の身を守るため。
傷を修復しながらの消化吸収では非常に効率悪い。
だから味覚を鈍らせて極力食べないように促す。
順調に修復が完了すれば自然にお腹が空くはず。
風邪引いて味覚が落ちたら一食抜くと治りも早い。
胃はお腹の中央から左側にかけて位置している。
そこを慢性的に守っていれば上半身は左後方に捻って自然と右肩が上がる。
消化器系で胃と繋がっている腸も動きが悪くなれば左骨盤が次第にロックしていく。
足のシビレは筋肉系でほぼ消えてきたものの最後のひと押しが見つからない。
上記の方へは食事改善も伝えたが、それだけでは解消されないタイプだった。
これは手強いぞ。
こうなったら一つひとつの関節を地道にニュートラルに仕向けて骨格を正常な位置に戻していこう。
内臓に自ら動く意思がなければ、骨格を正すことで内臓が自然と正常に働けるように。
よしっ! 夏頃には誰もツッコめないくらい理想的な姿勢になってきたぞ。
極端な右肩上がりだったのも解消された。
味覚の話は後から分かったことだが、20年以上ともなると骨格バランスの改善はさすがに一筋縄ではいかなかったわけだ。
シビレみたいな表層の問題には必ず何かしらの隠れた問題がある。
答えは人の数だけある。
だから経験値が物を言う。
年配の方々の含蓄ある言葉はその経験値から編み出されたもの。
ありがたく聞きたいね。