
日本高血圧学会は治療のガイドラインを6年ぶりに改訂し、75歳以上の治療の目標とする血圧をこれまでの最高血圧140未満から130未満に引き下げました。
高齢であっても血圧を下げると脳卒中などの予防につながると判断したということで、学会は「広く知ってもらい、生活習慣の改善などにつなげてほしい」としています。
これを「素晴らしい判断」と思うか「何で?」と思うかは自由です。
目の前に薬があってもそれを飲み込めるのはご自身だけですから。
ここで、毎度おなじみコクランレビューと見比べてみましょう。
高血圧の成人における血圧目標
主な目的は、慢性動脈性高血圧症患者の治療において、標準血圧目標値(140/90 mmHg以下)と比較して、より低い血圧目標値(135/85 mmHg以下の任意の目標値)が死亡率および罹患率の減少と関連しているかどうかを判断することでした。
主な結果
低血圧目標群における唯一の有意な効果は、心臓発作の発生率とうっ血性心不全の発生率のわずかな低下でした。しかし、低血圧目標群では、その他の重篤な有害事象の発現件数が増加しました。確実性の高いエビデンスによれば、低血圧目標群と標準血圧目標群を比較した場合、全死因死亡率および重篤な有害事象の総数に差は認められませんでした。
高血圧は症状であって“病気”ではないですからね。
何でもない人に薬を与えて“病人”にしてしまっては意味がありません。
抗生物質の処方も変わるよ
上記の高血圧の記事と全く同じ日に抗生物質のニュースも出ました。
「あっちを増やすからこっちを減らす」みたいな駆け引きがあったのでしょうか。
診療報酬の審査業務を担う厚生労働省の外郭団体「社会保険診療報酬支払基金」は、医療機関が風邪や小児インフルエンザなどの疾患に対して抗菌薬(抗生物質)を処方した場合、保険請求を原則認めないとする方針を公表した。通知は8月29日付。
抗菌薬は細菌が原因となる感染症を治療する薬。支払基金は、風邪やインフルエンザの原因の多くはウイルスで、細菌である可能性は低く、「抗菌薬の臨床的有用性は低いと考えられる」としている。患者が支払う医療費の自己負担額に影響はない。
調査によると風邪と診断された約97万人のうち、18%の患者に抗菌薬が処方されていたと。
よく聞く話です。
これで少しは副作用で苦しむ方が減るのかな。
糖尿病、肥満、炎症性腸炎、統合失調症、肝臓・腎臓障害 etc.
いろいろ抗生物質の服用で引き起こされる病態がありますね。
これからはスーパーでパッケージ裏の成分表示を見ると同じように、薬に含まれている成分や副作用もチェックしていきましょう。